第5章 恋人 - 定義と認識 2*
「見ているだけ。 いい具合にタオルが透けて、むしろ裸体よりも扇情的じゃないか?」
「も、もうっ!」
慌てて浴槽からあがろうとする、透子に手を伸ばした静がタオルの端を引いた。
はだけて体があらわになったので驚き、小さく叫んで再びお湯に沈む。
と、静がそれを待ってましたとばかりに透子を抱きすくめた。
「きゃ…いやっ」
「こんな状態で俺が我慢出来るとでも? キミの言動は分かりやすい」
「どうせ、単純………」
この後に及んで隠れようとしてるのか。 静の腕の中にぐいぐい入り込もうとする透子に、静が顔を綻ばせた。
「罠にかかりやすいにもほどがある。 日ごろから気をつけたまえ………もちろん俺以外に、だ」
くいと顎をすくわれ、また穏やかな口付け………と思い目をつぶる。
すると今度は静がぬる、と舌を入れてくる。
座ったまま、静が強く彼女を抱き寄せたので、肌同士が直に触れ合う。
僅かに動くたび、自分の色々なところが擦れ、キスの内容に関して指摘しそびれた。
ぬめるのは唾液なのかお湯なのか。
遊ぶように口内を動き回る静の舌がくすぐったい。 それでも、静に対し、自分が恋をしている男性だとしっかり自覚した透子は、まもなく素直にそれを受け止めていた。
「もう乳首が勃っている。 午前中は可愛がってやれなかったからかな」
「ん…ぁっ」
桜色に温まった胸先をごく軽くつまみ、透子の反応を見ながら手で包む。
静が力加減を変えるごとに触れた箇所が震える感覚が残る。