第4章 恋人 - 定義と認識 1*
「必要ありません……っから!」
横向きになっている手首が束ねられ、「あっ」と声をあげた。
腿の裏に入り込んだ静の手が上に伸びていく。
「だ、ダメッ」
「駄目だと? ではこの下着の湿りはなにかね」
「や…めっ、そんな……ことは」
足の間のショーツ越しに静の指先が触れた。
羞恥のためにますます正面から見下ろしている静から顔を逸らし腰を捻る。
「そんなことは無い?」
「は、はい」
「なるほど………」
手の拘束をゆるめ穏やかに口角をあげた静に、ホッとしかけて顔をあげた。
「ンん!!」
下着に割り入ったばかりか、突然、体内にずぷりと浅く侵入してきた指に背が反れる。
長い中指で肉を掻き分け進ませながら、静が堪らないといった表情で煽ってくる。
「こんなにスムーズに挿入を許すほど…キミの中はいつもこんなに潤ってるのか?」
「ん…っや、ぁあ!」
狭い内部で若干抵抗しながら回転した指に、やや苦しげに透子が眉を寄せた。
「あんな遊戯のような口付けで濡れてくれるとは。 キミの欲しそうな顔は分かりやすい………」
静の指が動きを止めた。