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琥珀王子と瑠璃色灰かぶり姫

第4章 恋人 - 定義と認識 1*



フカフカのシートに倒されそうになって面食らう。
サワサワ胸を包んでくる静の手を、体を捻って避けようとした。

「母君から教わらなかったかね。 左の乳を揉まれたら右の乳も差し出せと」

この人、何言ってるんだろう。

「静さん。 頭大丈」


「静様。 着きました」

仕切りの前面についているスピーカーから運転手さんらしき無機質な声が車内に響く。

「────チッ」

「ち?」

「なんでもない。 ついて来たまえ」

「………」

ふう、と気を取り直して髪を掻きあげた静が透子に命じ、起き上がって先に車から降りた。


さすがに山の手だけあって国立の家よりは小さなものの。

軽くマンション並みの敷地を携えた白磁の壁の…これも豪邸の部類に入るのだろう。

義母の家も、周りからすると立派とは言え────ふと、不思議に思った。
なぜ西条のような大企業とも親交がある、大きな会社の御曹司がわざわざ、うちとお見合いなんてしたんだろう。


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