• テキストサイズ

琥珀王子と瑠璃色灰かぶり姫

第4章 恋人 - 定義と認識 1*




「なにかおかしいですか?」

「え……い、いや、予想外過ぎて。 なぜまた?」

目線をあちこちに彷徨わせて狼狽える静なんて、初めて見たかもしれない。 自分の方が逆に冷静な気持ちになった。

「この一週間、考えてたんです。 私、嫌いな人に触れられたりはしません。 それに、仮にも一緒に住むのなら中途半端は嫌ですし………お互いに知り合っていく過程を許すのなら、関係性の定義としてそうあるべきだと思いました」

「なるほど………そういえば、キミの北陸の母君はクリスチャンだったな」

静が神妙な表情でゆっくりと頷いた。
彼の話の意図は分かりかねた。

ただ少なくとも、自分の発言が歓迎されているようには見えない。

「私は宗派を継いでませんし、洗礼を受けてるわけでもないですけど………もちろん私の勝手な申し込みなので、お断りしていただいて結構です。 仕事などもまた自分で」

「キミの仕事は西条に預けたから、その辺は心配しなくていい。 では、まあ。 分かった」

「分かった、って一体」

「その件は心得た。 一つだけ言うのなら、キミが今言ったようなことは俺が先に口にするべきだった」

「そんな決まりはないですし、どちらかからでいいと思いますが」

「そうか」ひと言いい、静が車窓に目を移す。

いやに事務的というか、素っ気ない。
甘い言葉はいつも口にするのに。 と、意外な静の反応だと感じた。




/ 457ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp