第3章 自立(と調教)への一歩は王子から*
「そ、れはどういう………」
「奴の趣味と嗜好の問題だ。 いたいけな少年を自分好みに調教する────俺がカレッジに入ったのは16だが、当時奴だけには近付きたくなかった」
どことなく暗い表情で語ってくれた静だったが、先ほどの西条の言葉を思い出した。
『 あと、嗜好は違うけど彼とは趣味が合ったり 』
つまり、それぞれに当てはめるとこうなるのだろうか。
嗜好=いたいけな少年(西条)
趣味=調教する(西条・静←)
「………」
「なぜいきなり距離を置く」
車のドアに体をくっ付けた透子が静の視界に入らないよう小さくなる。
「え、まあ。 気にしないでください。 というか、こっちを見ないでください」
「なんでそんなに極端なんだねキミは」
「い、いえ────」
ぐい、と腕を取られて腰に腕を回され、静の膝の上で抱き止められた。
突然の密着に目を白黒させる。
「っな…ん」
「逃げると捕まえたくなる」
「だからっ…て急に」
「急じゃない………」
強引なわりにはなんとなく、弱々しそうな口調の静に口を閉じた。