第3章 自立(と調教)への一歩は王子から*
「それは、もちろん頑張ります。 でも、静さんとは随分と親しいんですね」
「まあ………親しくなったのは、どちらかというと日本へ帰ってきてからだけど。 俺は彼ほど優秀じゃないし。 本来なら歳も俺と同じ27とか、その辺りのはずなんだけどさ。 なのに昔っから生意気なんだよねえ」
「ふふっ………たしかにそうですね」
西条のオープンな気質は向こうで培ったものなんだろう。
静とは少しばかり違う………うーんと考え、西条に訊いてみた。
「静さんはずっとイギリスに居たんですか」
「うん、彼はプレップ…って、小学校からね。 そうそう。 あとは嗜好は違うけど彼とは趣味が合ったり」
なにかに似てると思ったら、静さんって王子様っぽいんだ。 キラキラしてるし偉そうだし。 うんうんと納得する。
「そうなんですね」
趣味。
イギリスの男性だったらテニスとかサッカーとか。
ビリヤードとかも似合いそうな。 自分とはまるで別世界の静と西条に思いを馳せた。
ニコニコ透子を眺めていた西条が口を開く。
「それにしても、彼って普段は滅多に頼みごとなんかしないんだけど……こういうのは嬉しいものだね」
西条さんって、なんだかほっこりするなあ。 そんな風に穏やかに彼と微笑みあっていたとき、静がホールに戻ってきた。
「待たせたかな……うん? なにを二人でニヤニヤしている」
「何でもないよ」
「何でもありません」