• テキストサイズ

琥珀王子と瑠璃色灰かぶり姫

第18章 死がふたりを分かつとも



****

午後三時ピッタリに社内放送が鳴り、三人がいた社長室の空気が張り詰める。

透子は手を止めてじっと耳を澄ませた。


「────業務時間中に失礼する。 わたしは取締役会長八神京吾だ。 この放送は現在、八神各社各国へと伝えられている。 社員全員、今がた受信したメールに記載のURLにアクセスしなさい」


低く悠然とした京吾の声だった。

佐々木と美和が透子の後ろに周り、PCを見詰めた。
リンク先を辿るとその動画は昔、他人事のように観ていたものと似た、海外での報道の様子だった。


『本日、日本時間午前三時45分。 日本航空46便、カタールから日本行きの飛行機がハイジャックされました────……』


そんな冒頭から記者が話し始める。
頭がうまく回らないのか、透子は要所要所の言葉を拾うのが精一杯だった。


『ここの乗客の中には八神グループ取締役、八神静さん。 作家の………などが搭乗していことが分かっており、14時12分、人質は無事釈放されました。 八神静さん他数名が重体として現地病院に搬送中です。 犯人の行方については────この後乗客名簿による他の日本人については────』


「えっ……あ、あれっ!?」

美和が素っ頓狂な声をあげた。

何ごとかと透子が訊くよりも早く。

「とりあえずワタシ、搬送先の病院に連絡してきマス!!」

大声を出した美和が社長室を駆け出して行った。

そのすぐ後に再び社内放送が続く。



/ 457ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp