第18章 死がふたりを分かつとも
「と、透子様は最近の激務でっ………!! 今日帰国してやっと…ダカラ………し、静…様、ナゼなのですかあ………っ!?」
美和の、誰に向けたとも言えない悲鳴のような声で我に返った。
ああ、そうだ。 美和は確かこんな場には弱いのだった。 透子が思い出した。
ボロボロ涙を流して泣きじゃくっている。
なるべく平静を装おうとした透子が美和へと顔を向けた。
「み、美和……さ…今の静さんの…状態は分かりますか」
『戻る………たとえ、魂となろう…とも』
切れたと思っていた音声から再び静の声が聴こえる。
先ほどよりも小さく消え入るようだった。
ややして美和が涙声で、だがしっかりとした説明を始めた。
「それ……はリアルタイムで分かりマス。 損傷の部分はは定かではないのデスが…心拍数、脈拍ともに………微弱。 良くは…ありまセン。 もしもこれが運がよくて失血によるものでしたら、静様の体力でもっても………あと半日」
また目眩を覚えた透子が頭を両手で抑えた。
『よく、頑張っ……キミは、俺の…一部、なのだと……そうだな?』
一瞬、静に包まれた気がした。
それが自分のことを指し、そして自分しか知りえない静の言葉だと気付いた。
『あと半日』
それで彼が居なくなる、と─────……?