第17章 I love you と言わない*
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透子が意識を取り戻すと、硬質な雰囲気の丸時計が目に入った。
時刻は11時半を示している。
………それはいいが、相変わらず下腹になんとも言えない違和感がそのままだ。
そして横向きの静が背後にピッタリと張り付いたまま、自分の髪や首すじをくんくんすーはすーはと嗅いでいる。
「あの? 静さん………?」
透子が声をかけるとハッとしたようにそれを止め、肘をついたのかやや上から静の声が降ってきた。
「フフ……また俺の勝ちだな? 挿入したままに恋人の果てている姿を味わい尽くす────まさに愛と自律の結晶。 最近キミはどうも身近な色恋に毒されがちのようだ。 しかしこんな真似は西条には出来まい…くく、奴め。 『真っ当な恋愛』などと」
「何をいきなり語ってやがるんですか」
「この俺の価値をだ。 さあ、崇めるがいい」
「………」
変質者みたいに人の匂い嗅いでたくせに。
自分も大概だが、静とは呆れるほどの負けず嫌いらしい。 透子がようやくそれを理解した。
無言でいるうちに、硬度を失っていた彼が内側で膨張していくのを感じた。
「………!?」
つ、と伸ばされた指が透子の胸先に伸び、触れられるのかと思うといつのまにはだけられた乳房全体をすっぽりと包んだ。
指の股の間に先を覗かせ柔らかく揉んで抱きしめる。
いまだジンジンと痺れの残る膣道を、緩やかに昂りが移動を再開し始めた。