第17章 I love you と言わない*
抱えられた片足がピンと伸び、鮮烈過ぎる刺激を和らげようと透子が体を仰け反らせた。
「キミからキスをしてくれるか? 俺の首にちゃんと腕回して」そんなことを静が言ってきて、そしたらそうするしかない。
なるべくとお尻を落としたまま両腕を絡め、すると静の方から顔を寄せてきてくれた。
「ん、んん…っ、ん…ふ」
空気が濃くなるのが分かった。
こんな風になると、彼との間にある隙間にどうしようもなく不安になる────これは自分にとって理屈じゃない。
それともこうやって自分の方から求めるのはおかしいことだろうか?
静にあんなことを言っておいて。 透子が霞がかった頭で考えようとする。
口内を動き回る舌や自分にまとわりつく唇の動きはますます奔放な蹂躙を増し、眉を寄せてそれに夢中になっている彼が、透子の欲情の後押しをする。
自らの動きで昂りが体内に収まっていくも、どちらかというと重い痛みに透子が体を震わせた。
だけどそれは一瞬のこと。
すぐに甘い圧迫に変化し、奥底が嬉しげに反応する。
それを繰り返しながら、気付けば上体はほぼソファーの上に置かれていて、既に彼の殆どを受け入れようとしていた。
「逆に訊くが、キミは俺以外にこんなことを許せるか」
「いい…えっ。 わ、わた…しは」
「それが答えだ。 俺がこんなにのめり込むのも………あまり聞き分けのないことを言うんじゃない」
そう言った静に優しく叱られる。
一度だけ、反り返った剛直がお腹側を行き来し、元のように閉じようとする膣襞に拒絶を示した。
グリッ、と抉られ室内に、透子の啼き声にも似た切なげな声が長く伸びる。
静が動き始めたが、それは決して激しいものではなかった。