第17章 I love you と言わない*
「分かりました」
透子が笑顔を作り書類を元の位置に戻した。
「………いい返事だ」
同じく口の端を上げた静が応じた。
「だが────さあ、お遊びはここまでにしようか」
この上にまだ何があるのだろうか。
透子が緊張に身をすくめる。
真向かいにいた静がこちらに向かって近寄ってくる。
「…え…えっ……!?」
ごくごく自然な様子でテーブルの横にあるソファーに押し倒された透子が戸惑った。
静が軽く透子の耳たぶを唇で挟んだ。
「昨晩はなぜだかお預けだったから………昼まではまだ時間がある」
いや、どっちがお遊び?
そしてだからここは会社。
仰け反った喉元に続けざまにキスを受けている透子が混乱した。
「ちょっとし、静さ……っ?」
「一昨日はキミの体中に跡をつけておいた。 まだ残っているようだな」
片手で器用にブラウスのボタンを外された透子の顔が赤くなる。
「静さっ………止め」
「なぜ?」
胸の下着の隙間に指を入れ、静の舌が胸元を濡らしていく。
指先が胸の先に触れた時にヒクンと上半身が揺れた。
「っだっ……」
そうしながらも彼の目はじっと透子の肌を見ていた。
所々に浮かぶ紅い跡に、謝るかのように口を付ける。
「この白磁の肌にこうするのは気が引けたが。 俺はここの所、キミの乳首が固くなっていない様子を見たことがない。 きっとどこに触れてもすぐにそうなるんだろう?」
指先が柔らかな力でクルクルと円を描き胸先の周囲を弄んでいる。