第17章 I love you と言わない*
透子もそんな目黒邸のみなにつられて口元が緩みかけるも、ハッとしてそれを引き締めた。
加えて看過できない思いもあるのはたしか────そう、なんと言っても今回の、桜木と美和の所業だ。
<中略>
美和:『アレはワタシが開発したものなのデス! 将来医院開業のための資金作りの一環として』
桜木:『旅行中はどうでしたか? XXXXを存分に責められXXXで何度も静様の腕の中で達したと共に、いくつもの愛の言葉を受け取ったはずです…違いまして?』
「………う、うーん?」
結局うやむやにされたような気がする。 明日の出勤の準備をしながら透子は時おり手を止め考えていた。
桜木の話には放送禁止用語が多すぎて途中で逃げ出してしまったし、
『ゆくゆくは子供の心身のケアをする、弟の名前の医院を建てたいのデス!!』
美和にはそんなことを言われほだされた透子が、思わず涙ぐんで薬の効用の詳細まで説明してしまった。
熱心にメモを取る美和の姿を頭に浮かべつつ、あの薬に関してモニターになってないだろうか。 そんなことも思った。