第16章 大人の遊戯*
「そもそも俺は西条みたいに間抜けではないし。 見た目から言ってもキミと三田村では持ち味がまるで正反対だ」
「うっ…で、でも」
「それに………これでも頼っている。 昨日も言ったがキミにはキミの良さがある。 『俺』は二人も要らない」
昨日。 昨晩のことを思い出そうとすると再開された挿抜に透子の思考が用を成さなくなった。
ふ、というため息か笑いか。 それからどこか安堵と快感を混ぜたような、くぐもった静の声が耳に入る。
「やれやれ。 つたなくはあるが、そんな健気なことを一日考えていたとは。 どこまで俺を惚れさせれば気が済むんだ? ………本当にキミには困ったものだ」
その動きもまるで晴れた秋日に打ち寄せる波のように優しく透子を揺らす。
「あっあっん、あっはあ…はああっ……し、静さんっ」
そして彼が達するまでの間。 自分の内に溜まっては通り抜けを繰り返す甘い快楽にただただ浸りきった透子だった。