第16章 大人の遊戯*
深い谷…だろうか。 全体を見下ろせるほどの高台にいるのだが、その光景は圧巻だった。
向かい側に滝があったがそれは一本に激しく流れるものではなく、広い川から落差のある滝つぼまで、まるでいくつもの岩肌から絹糸のように水が垂れては水面へと降りていった。
その間には濡れて隆起した岩が道を作っていた。
乳白色の洗流が落ちる先は絵の具を混ぜたような緑がかった空の色。
ゴウと音を立てて混ざりあっては勢いよく更に下流へと流れていき、その様を数え切れない木々がまばらに覆う。
「はあ…すご……」
先に馬を降りた静が手網を近場の頑丈そうな枝に括り、透子に向かって手を伸ばした。 が、力が入らない。
足元も覚束なくよろける透子に、静が座るのに丁度よさそうな岩の場所まで連れていってくれた。
歩く度に感じる違和感にはぁはぁという吐息が収まらなかった。
「あ…りがとう、ございま……す」
ここからだと景色もよく見えそうだ。 ふわふわした頭でそう思っていると「そこに後ろ向きで手をついて」と命じられる。
「え、あの…まさか」
人気は全くなさそうだがここで………? と思うも、薄く微笑んでいる静は譲る気はないらしい。 ついでに「たしか今朝の貸しがあったはずだが?」などと透子を催促してくる。
仕方が無いので透子がノロノロした動きで岩の上に手をつくと、お尻を突き出し見せつけているような恥ずかしい格好になった。
「さぞいい頃合いだろう? タイツの色がすっかり変わって…どれ……」
下着を下ろされると共に体内の異物をズルンと引き抜かれる。
「きゃ…」
その部分を指で広げられ急にひんやりした感触に透子が戸惑った声を出した。