第15章 届かない天空をのぞむ*
「うーん……朝からうるさいですねえ?」
ロフトの上で身を起こした透子が両腕を上に伸ばし大きな欠伸をした。
階下ではクッションやなにかを投げ付ける音と一緒に、何語かよく分からない静の怒鳴り声が響いている。
隣で寝ていた三田村も目を覚まし目を擦って透子に話しかけてきた。
「あら……透子様、おはようございます。 なぜこちらに?」
「はあ……夜中に目が覚めてその、昨晩の記憶が蘇ってきまして。 あんまり腹が立ったので、ちょうどお手洗いに起きてきた西条さんと変わってもらったんです」
苦々しい顔で透子が言う。
それに対して三田村がすまなそうに詫びてきた。
「そうですか………全てではないとはいえ私も見てしまい、申し訳ありません」
「え、いえっ! 三田村さんは全然いいんです。 ただ勝手に色々また薬とか、中にとか」
見られたのはいい。 いや良くないけど三田村だし。
ただ、以前から静は物事を自分勝手に進めがちなのだ。
夜中に起きてドロリとした体液が自分から出てきたのには大いに焦った。
それからゆっくりと記憶を辿り妊娠の心配はないと安心はしたものの。 次に透子は晒してしまった自分の幼稚な痴態に頭を抱えた。
自分だって勝手にしてやる! と、怒りの透子が自分と西条のトレードをしたのは正当な仕返しである。
そんなことを思っていると、ロフトの柵に腕と顎をのせ階下の二人を見下ろしていた三田村が話してきた。
「そうですねえ。 ですが私、あれから西条さんの寝顔を眺めながら考え直しました。 こう、なんと言うか。 もう少し自然に任せようかと」
「三田村さん?」