第15章 届かない天空をのぞむ*
今度は壁を軽く指の腹で擦り付けている。
「もうこんなに。 一体どこから出て来るんだろうな」
そう呟いた静が次から次へと溢れる出どころを探しているみたいだった。
安心出来るゆるやかな愛撫だった。
彼の腕には自分の頭が乗っている。
たまにそれでもって反対側の胸先をつままれ、声をあげそうになるそんな時、透子は手を口にあてて堪えた。
ただそうされると体全体を包まれているみたいでひどく心が落ち着いた。
「三田村。 質問があるなら言いたまえ。 特別サービスだ」
そんな風に言いながら今の静の指先は透子の秘部────両側の襞を寄せ、粘膜越しに肉芽を優しくほぐしてあげている。
口に両手をあてた透子がピク、ピクと肩を揺らし悶え堪えていた。
「えっ、ええ……あの。 何をしてるか全く分からないのですが。 実際今は何をされてるんですか」
顔の下からはシーツで隠されているためそれは無理もない………が、それは静なりの両者への配慮だった。
「フム…そんな知識もないのだな。 何とも由々しき。 女性が受け入れるための準備だ。 性感を高めてやると心身ともに心地好くなる…と、だが。 実は俺としては本番行為よりもこれが好きだ。 愛する者のこんな姿を見れるのだから」
肘を起こした静が上から透子を覗き込み、耳から頬、首すじにかけて囁きかけるように口付けを落としていく。
心からの慈しみを込めた静のこんな顔を三田村は初めて見た。
同時に、全てを預けきって身を任せている透子の様子も。
自分の過去を思い出したかのような三田村が目を落とす。
「分かりません。 私は痛いだけでしたから」