第15章 届かない天空をのぞむ*
すりっと舌の両側を挟まれ逃げようとするので透子は急いでそれをちゅうと吸い、口内粘膜への愛撫に夢中になった。
「わ、私西条さんを………そんな所で寝ては風邪を引きますから」
そんな二人の様子に見かねて立ち上がった三田村に静が声をかける。
「ああ。 上にロフトがある。 布団が敷いてあるから適当に転がせておけばいい」
「はい」
三田村が西条を肩に担ぎあげ、トントンとロフトへの階段を昇る。
西条の体重は目測でも80キロを超えるはずだ。
そんな三田村を見やり、静は再び眼下の透子への愛撫に注意を向けた。
「この柔らかでかわいい口で咥えられたら三秒も保たなそうだな」という静の独り言に「何をですか?」と三田村が至極真面目に答えを返す。
「ちなみにだが三田村。 愛とは生物だ」
西条を寝かせている間、三田村的に思考を切り替えた。
またロフトから降り椅子に腰かけた三田村が静の言葉を反芻した。
「なま?」
透子を抱いて構っているこの光景。 見ようによってはこれは自分とメアリーがじゃれている様子と見えなくもない。
「然り。 計画通りに事が進むものでは決してない」
「しょ、そようですよお!」
と、突然メアリー…いや、透子がぷはと静の指を吐き出し声をあげた。
「お、お互いにょ、気持ちが。 めあり…しゃんを…西じゃ、しゃんはにんげ」
文脈も何もあったものではない。
そんな透子に静が軽く口付けを落とす。
「まあ透子。 無理をするな。 ちゃんと抱いてやるから、声を出さずに…出来るな?」
「ひ、ひゃい」
ぱあっと明るく顔を綻ばす透子だったが当然三田村は大いに慌てた。
「なな、何を」