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琥珀王子と瑠璃色灰かぶり姫

第15章 届かない天空をのぞむ*




ぷくくく、と外の窓の下で小さく噴き出す透子だった。

仲がいいのか悪いのか。 静は自分以外にも相当世話焼きなようだ。

「お、面白いですねえ?」

「別に………」

壁に背をつけてポツリと言う三田村だが、両手を組み直したりまた戻したりとどこか落ち着かない様子である。
西条のほぼ告白みたいなものを聞いてこの反応。

「西条さんは三田村さんがとてもお好きみたいです。 何となくですが、三田村さんも西条さんに好感を持っているようにみえますが」

しばらくして三田村が口を開き、ポツポツと話し始めた。

「透子様。 私は療養中に随分あの人に世話になりました。 それこそ最初は背後霊のようで煩わしいだけだったのですが。 ………白井家を出た日を覚えてらっしゃいますか? ヘリの操縦をしながら別の受信機で私は皆さんの会話を聞いていました」

「はい。 よく覚えています」

すっきりと晴れた山の冬空。
三田村が伸ばした手の先には今にも降ってきそうな無数の星が瞬いていた。

「私にとって男性、いえ。 西条さんは………あの一等大きな星のようなものです。 あの人はいつもほら、周りのに星々に囲まれ、おおらかで気づかいがあり。 眼下から見下ろすものでは決してなく、ましてやこの手でつかめるなどとはとても」

「………三田村さんは西条さんに触れられるのは嫌ではないのですか?」



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