第15章 届かない天空をのぞむ*
ピンポーン─────……
そのタイミングでチャイムが鳴った。
ロッジの外側からなにやら気配を感じる。
静に抱き止められていた透子が静を見あげた。
「?? なんでしょう。 こんな夜分に」
「知らん。 無視だ無視。 こちらは滅多にない休暇なんだ。 しかもキミとの初めての」
そもそも、自分たちがここにいることを知ってる人間なんて限られているはず。
我関せずと構わず透子を押し倒そうとする静だったが。
「無視ってわけにはいかないでしょう。 もし不慮のことだったら大変です。 なにか私が着れる服はありますか?」
透子がそう言うと静が一瞬ムッとした表情をするも、ややして普段の顔に戻り体を離した。
「まあ………これはキミへの貸しにしておこう。 俺が出るからキミはここにいるといい」
クローゼットに向かいさっさとチノパンとセーターというラフな普段着に着替えた静が畳まれた衣服を透子の前に置き、玄関先へと向かう。
服を取ると女性用の浴衣だろうか。
なんだか旅館のようだ。 何にしろ、あまりサイズを気にしないでいいのは有難い。
透子がささっと帯を結び羽織りを腕に通した。
「………透子。 ちょっと来てくれ」
「どうしたんですか」
珍しく緊張した声の静に呼ばれ、透子が静の後ろから顔を出す。