第15章 届かない天空をのぞむ*
浴室内に足をつけたら湯気の中からにゅっと手が伸びてきた。
スルル、と肩から腕へとくすぐったさが移動し、透子が声を出してクスクス笑う。
「ふふっ…ふふ。 じ、自分で洗えますから」
そう言うと、彼の手がわざとサワサワ脇や腹を撫でてきた。
「く、くすぐっ! たっい! やあっ!」
「くく。 遠慮をするな。 洗うのは俺の方が早い」
狭い浴場内のせいですぐに間を詰められる。
透子の腰がつかまり引き寄せられそうになったので悲鳴をあげてそれをすり抜けた。
かと思うと、その先で出しっぱなしにしてあったシャワーでびしょ濡れになり、驚いて悪態をつく透子に静が噴き出す。
ふざけ合って騒ぐ声を水音がかき消し窓の外の宵闇へととけていく。
静の手が大きいせいであっという間に透子の背中や腕がモコモコになった。
「ちょっ静…っあん」
そんな風にふざけ合っていた最中、ちょっとした隙に胸先を指でつつかれ、笑いが甘い声に変換された。
背後に回った静が透子の乳首を泡のついた指先でこすり合わせる。
それはまるでもっと引っ張り出すのを試みてるようにみえた。
それから全体を優しく揉み、今度は溶けそうな感覚に透子の吐息が温まってくる。