第15章 届かない天空をのぞむ*
それでも情欲と色香に満ちた瞳の色は今はなりを潜め、透子を心地好くさせるための愛撫に注力しているかの優しい表情だった。
「まっ……待っ」
ふうっ、と息を吐き腿で静の手を挟もうと試みる。
だが言うことをきかない彼の指先は秘裂をめくり、ぬめりの中を遊び回る。
「ンん…や。 返事…を。 『イエス』です」
でなければあんな面接を受けに行ったりしない。
自分の体を知っているのは彼だけでいい。
「では────正式に採用だな」
「はっあっっ………んっんぅ」
手のひらから指先全体が粘膜の表面の往復を繰り返し始めた。
その終着にツプッと指が中へと浅く入る時と同じに、襞に包まれた敏感な肉の先端が潰される。
「あっあっ、はあ…っ! んぁあっくっ、ぃく…」
こうされるのはこれからも、静しか要らない────どんな愛され方でも、彼の方向がきちんと自分を向いているのなら。
鋭い閃光のあと、体内の熱を吐き出すように体を弛緩させ、透子が細く深い息をついた。
「………かわいかった。 受けてくれてありがとう」
頭を撫でられ我に返ると愛おしさや嬉しさを押し殺しているみたいな静の顔が目に入る。
彼なりの、採用試験は遠回しな愛の約束。
眠った振りをしていた自分に触れていた彼はこんな顔をしていたのだろうか?
そうだといい。
耳元で囁いてくる彼の声が暖炉のまろやかな音に混ざってパチパチと弾ける。
「───愛している。 心から」
そう思っていてくれたのだといい。
静の手を取った透子が、自分の頬にそれを押し付け甘えた声を出した。