第15章 届かない天空をのぞむ*
「な、何でしょう?」
静の鼻先が髪を割り、首すじから肩へと唇が触れる。
暖炉のせいなのか、肌にジリジリ熱の余韻が残る。
静の指先が透子の衣服の襟ぐりの隙間を割り、もどかしげにボタンを外していった。
「俺以外の誰かがこの肌に触れることは許さない。 俺の傍にいる限り。 永久に、だ」
「それはあの、どういう……意味ですか」
気を抜くと言葉も思考も絡め取られてしまう。
そうなる速度をゆるめようと、透子は胸元を下降していく静の柔らかな髪に指を入れた。
「どうかイエスと。 でなければ俺の気が狂いそうになる」
静が訴えるも余裕のない透子からは惑いを帯びた吐息が返ってくるだけだった。
そんな彼女に焦れたのか。
「ン…ンん……は」
食べるように開いた静の口で片胸を咥えられた透子が喉を反らした。
舌の面で柔らかな表面の乳輪ごと大きく湿らせていく。
頂点に戻ると舌先でコロコロ転がしてはつん、と繊細につついて。
クルリと乳頭を一周し、既に恥ずかしいぐらいに勃っているそれをそっと唇で囲む。
優しい愛撫だと透子は思った。
けれども彼の息も舌も。
甘く噛まれる肌が、胸の先が堪らなく熱く感じた。
今度はまるで、先ほどの媚薬入りの唾液を塗り付けられているかにも思えた。
ちゅ、ちゅうっ…ちゅ。 強弱をつけて胸先を吸っていた静が上目で透子の様子を伺う。
「胸の性感帯。 キミがそうやって反応を返す場所はする度にしょっ中変わる。 気付いていたか」
そう言われて透子が頼りなげに首を横に振った。
いつの間に仰向けの体は床に敷かれたぶ厚いファーの上に倒されていた。
「静…っさ、シャワー…を……あんっ」
口に出しかけ、急で強い吸引に言葉が嬌声をまとった。