第15章 届かない天空をのぞむ*
じっと動かない透子を見て、静がわざとらしく声をかけてきた。
「透子? 運んで欲しいのか」
「え……いえ、あの」
「俺の姫は甘えん坊だな。 ん、違うな? いやらしい香りがする」
し、白々しい。
透子の側に回った静が彼女の体に手を差し入れ、すると目隠しをするみたいに静の首に腕を回した。
「やだもう。 み、見ないで……」
「シートなど洗えば済むこと。 キミが意地を張るから」
ちゅ、ちゅ、と優しく額に口付けを落とされるも。
そもそもお前があんなものを飲ませるからだ。 そう思うとやっぱり腹が立つ。
「我慢していたのはキミだけじゃない」
「あぅ…ん」
首を曲げて耳の下に顔を埋めてくる静の体温にブルッと体が震えた。
「少し腹が減ったが………まずはキミを食べないと。 一緒に軽くシャワーでも?」
抱き上げられた衣服や触れる部分への刺激だけでどうにかなりそう。
文句は後から言おう。
ここはしぶしぶかつ素直に透子は大人しく運ばれることにした。