第15章 届かない天空をのぞむ*
「たまにはああいうもので楽しむのもいいな? 帰ったら桜木からの贈り物を俺に」
「………そ、そういえばっ!」
なにやらいかがわしい車内の雰囲気を払拭すべく、透子がさり気に静の手を避けバッグの中をゴソゴソ探る。
「ん? なんだそれは」
「美和さんからのプレゼントです。 でも、静さんに渡してくれと?」
「フーン?」
ちょうど赤信号に差し掛かり、静が可愛らしいラッピングを取り去り中の袋らしきものを摘んで眺める。
「透子、ドイツ語は出来たか。 俺はあまり得手じゃない」
これは!
静の欠点がやっと見つかったのか。
「そうなんですか。 多分大丈夫です。 ええと、ラピ」
ちょっと得意になりその袋の能書きを覗き込むと、手のひらで頬を上に向けられる────と、ぐいっと彼の舌が喉に割り入ってきた。
「…………っんん!?」
コクン、と何か流し込まれたがこれは飴?
甘い余韻と突然のキスに胸が鳴る。
「いきなりな、なにを………」
元の位置に戻って車が走り始めてもドキドキが止まらない。
久し振りのキスだからだろうか。