第2章 誰より優しく奪う*
「当然きちんと避妊はする」
避妊。
そう聞くと途端に尻込みしそうになる────今している行為の意味は子供を作るためではなく。
「あの」
「なんだ」
「す、するんですか?」
「は」
「お見合い相手としなきゃならないものなんですか?」
「………キミは今さらなにを言ってる?」
心から呆れたような静の声音に目元から手を外す。
自分の両脇に手をついた静が自分を見下ろしていた。
自分の脚を割って入る胴が、まさに今からそうするであろうことを示している。
静の胸から下を見る勇気はなかった。
「だっ、て………静さん…は慣れてるんでしょう…けど」
そもそもなんでこんな急に、などと経緯を反芻しようとすると、静が微かに首を横に振る。
「往生際が悪すぎるだろう………この状況と空気とその体で」
「で、でもさっき…無理なら止めると」
「………」
「言いましたよね」透子がきまり悪そうに目を逸らしながら小さな声でボソボソ言う。
「………上の口も塞いでやろうか、この女」
「な、なんですか…っあ…あっや!」
静が片手で自身の昂りを握り蜜口にあてがった。
わざとグチグチ音が鳴るように表面の粘膜を掻き回し、互いの欲望を主張する。
透子の顔が真っ赤になり、思わず両手で覆う。