第2章 誰より優しく奪う*
「なんとなく解る。 俺の母も早くからいない。 一番身近な営みに気付かずに育ったんだろう」
次々と与えられる感覚の変化についていくのが精一杯だった。
……自分の体と心に侵食してくる。
彼の言葉と指先の動きで。
「し…ずか…さ…あっ」
快感だけではなく、それはどういう訳だか心地好くも感じた。
往復を繰り返していた蜜口に指先が潜り込み、進んできても痛みはなかった。
クルクルと膣腔に円を描き、指の腹が壁を優しく撫でては、また別の深さへとそれを繰り返す。
「あ…あっ」
秘部を晒し塗り広げ続けても、とめどなく愛液が溢れてくるのが自分でも分かる。
「はあっ……あっも、あっ」
もどかしげに腰が勝手に揺れる。
瞼から勝手に涙が滲む。
身体の細かな震えが止まらない。 そんな頃合いに静がやっと体を起こした。
愛撫を加えているその部分が、内部まで熱を持っている。
「やはり綺麗だ。 ふっくらとして受け入れる準備が出来てる。 自分の体が女になったのが分かるか?」
「うっ…あ!」
静がくんと指先の関節を曲げ、蜜口に顔を近付ける。
腟内も含め、全身で慄く透子に静が喉が鳴らした。
だが、真っ赤な顔をして固く目を閉じ………強ばりながら浅く早い呼吸を拾っている透子を見、蜜口からそっと指を抜く。
「………この辺にしておこうか。 果てて乱れるキミも是非見てみたいが。 透子、そのまま目を閉じて」
「っん」
瞼につけられた静の唇に、透子がくすぐったそうな幼い表情をした。
「おそらく父親のも見たことがないキミには刺激が強いだろうと思った。 見たいなら一向に構わない」
と、薄目を開けた自分の視界にズボンのジッパーに手をかけたの静が見えたので、慌てて目に両手をあてた。