第14章 愛すべき者たち
これだけは京吾に訊いておきたかった。
「静さんもそうやって操作したんですか。 亡くなった息子さんや…お孫さん達にも?」
ピクリ、と京吾の眉があがりフンと鼻を鳴らす。
「………君と話していると不快だな」
「すみません…喧嘩を売ってるわけではありません。 ただ私は、国立の家で静さんの写真を見ました」
「………」
「小さな頃からの、分厚いアルバム数冊分のたくさんの。 静さんを大切に思ってらっしゃるのになぜ………本人や周りから聞く貴方の言動はまるで正反対です」
透子自身のアルバムも、父母と暮らしていたものがほとんどだった。
事ある毎に透子の成長やイベントを撮りたがり、特に何とも思わなかったが────亡くなり、上京のための引越しで、荷物の整理をしていた際に気付いたことだった。
写真を撮りたがったのは青木かとも思ったが、国立のそれらには時おり京吾と一緒の物も挟んであった。
そもそも、京吾のような人間は他人に勧められて何かをするタイプではない。
押し黙っていた京吾の声が小さくなる。
「────諸々と、普通の家ではなかった。 多忙を極めたわたしに家族ごっこなどする時間など。 たとえあれによく思われてはいなくとも」
「静さんは自分に親などはいないと言っていました」
「わたしはあれを孫とは思ったことはない………ただあの子の為に、最高の教育を受けさせたつもりだ。 わたしをあれ以上怖がらせぬよう遠くにやって」
ボソボソと話す京吾に何も言えなかった。