第14章 愛すべき者たち
まったく話が見えてこない。
「あ、あの………?」
「で、でも良かった。 助けに来たんだよ」
と、いきなり透子の手を引こうとする。
「ち、ちょっと待ってくだ」
ロビーで大きな声を出しかけたので、またホテルの人が不審げな表情をした。
声を落とし、小分坂に理由を訊く。
「なぜ助けになんて?」
「ね、狙われてるのは知ってるんだ。 や、八神さんから聞いたから。 そうだよね? 国立で危ない目にあったって」
「………」
「そ、それで詳しい話を知ってる人間が僕に協力を」
「ゴブ…小分坂さんが私をって、一度お見合いをしただけなのになぜですか?」
顔を赤らめた小分坂がしばらく押し黙り口を開いた。
「おおお見合い、の席で…ぼ、僕に……普通に接しししてくれたから。 そ、そそそんな人は……だだだから…」
言いづらいのか、どもりが余計にひどいがボソボソと話すこの人は最初から悪い人とは思えない。
その場で透子が考え込んだ。
『詳しい話』
誰のことだろう?
それは分からないにしても、静から話を聞いた?
その人は静の知り合いでもあるのだろうか。
「すみませんええと。 その人は今どこに?」
「ああっう、うん。 すぐ表に」
申し訳ないけどその人に直接話を訊いた方が早そうだ。
透子は小分坂のあとについてホテルを出た。
どうでもいい話だが小分坂の名前は倫太郎と言うらしい。 やはり略すとゴブリン。 そんな事を思った。