第14章 愛すべき者たち
「そして静さんも。 青木さんたちみたいな方が傍にいたのなら、私は、嬉し………」
午後も大分と過ぎたようだ。
師走月だというのに、故郷と違い雪景色も何色もない。
震える枝葉の奥にある雲からぼんやりと黄身がかった銀に光る陽が差している。
殺風景な車窓からの景色だが、静の髪があんな色だということを思い出した。
それなのに彼に陽が当たると繊細な輪郭線がキラキラと金色に輝く。
美和が窓ガラス越しにちらと彼女を見、そこから視線を外した。
「ウフフ……今までワタシたちの前では涙など見せなかったデスのに。 他人事がまるで自分のことみたいに。 透子様は、静様を愛してらっしゃるのデスねえ」