第14章 愛すべき者たち
「────ハニー!!!」
「!!!????」
バーン、と派手に両側を開いた扉から突然あらわれた西条がひと言叫んで三田村を羽交い絞めにし、室内の一同がぽかんとしてその光景を見詰めた。
たしかにさっき連絡したのは自分だが、まさかこう来るとは。 死後の前に硬直しているかのような三田村に申し訳なく思わなくもないが、怪我をおして無理をしそうな彼女を止めれるのは、透子には西条ぐらいしか思い付かなかったのだ。
「白井さんから話は聞いた、無理はいけないね。 うちの一流の医療班をもって一週間で治してあげるから」
そう言った西条が固まっている三田村を難なく支えあげ、「連絡をくれてありがとう。 では年始に横浜で…って、話で良かったよね? 白井さん」と透子を振り返った。
「おい、離せ!」ようやく我に返って文句を言い始める三田村を無視し「はい。 くれぐれも三田村さんをお願いします」と美和と同時に透子が頭を下げた。
「透子様、賢明なご判断デス。 治療はワタシでも出来ますが、彼女を抑えておく人材がウチには足りないのデスねえ!」
ジタバタと激しく暴れる三田村を見据え、優しく西条がたしなめる。
「ハニー。 前も言ったようにオレはきみを襲うような真似は決してしないけど、それ以上暴れたら円花(まどか) ちゃんって呼ぶよ?」
「………っ貴様、それをなぜ…!!!」
円花とは単に三田村の下の名前である。
真っ赤になって意気消沈したように大人しくなった三田村だったが、彼女的にハニーは平気なのだろうか。