第2章 誰より優しく奪う*
湿りかけた瞼を薄らと開けると、そんな透子を見守る静の瞳に出会う。
「前みたいに乱暴にはしない」
つかんでいた静の手首に回っていた自身の指を、躊躇いがちに外していく。
一本、また一本と────そのたびに、下の方へと温かさが移っていった。
やがてショーツに潜り込んだ指が恥毛を梳き、自らの性器の割れ目に届いたときに「はあ」と深い息を吐いた。
「ぁあ…あっ…そこ、だめ…」
愛撫を加えようと動こうとする静の手を、両腿が挟んで阻んだ。
激しい羞恥や恐れからだった。
透子の耳朶に唇をつけた静が普段よりも小さく低い声を落とす。
「恥ずかしがらなくていい。 こんなに濡れてるのは気持ちいい証拠なのだから」
「でも…そこ、はっ…っ」
「自分で触れたことはないのか」
「あ…あり…ますけど……こん、な」
「触れて悦くなったことは………?」
無いことは無いと思う。
それでも何年か前に、興味本位に触ってみたあれが良かったかといわれると微妙な気がする。
一瞬赤くなり、のちに真面目な顔で考え込もうとする透子に、静がクスリと笑いをこぼした。