第14章 愛すべき者たち
………そんなわけで透子は早速バッグに仏頂面の静マスコットをぶら下げながら、美和とプレゼントについての会話をしていた。
「それはナイショなのデスねえ! ところで、中々目的地に着きませんねー?」
美和はもうすっかりと元気を取り戻し、透子と静が元の仲に戻ると信じ切っているようだ。
『ワタシもお手伝いしマスから、きっと大丈夫なのデス!』
そう胸を張って言われると透子も苦笑して頷くしかない。
そのための一環というか、今日午前中の透子のミッションは『国立の青木に話を訊きにいくこと』である。
「でも、青木様も何を考えてるんでショ? 静様と透子様が既成事実…つまり、子供を授かってしまえばヒヒじじーも二人の結婚を認めざるを得ないだろう、ナンテ?」
美和が言っているのは透子の誕生日に、桜木と国立および目黒の青木がホテルで話していた内容だった。
「私もまさか八神さんみたいな家が授かり婚を許すとはとても…そもそも。 それよりも、私としてはあの冷静な青木さんが、そんなことを静さんに煽っていたとは考えづらいのですよね」
「っで、加えてデスよ? よしんば結婚が許されたとしても、きっとその後が辛いデスよねえ?」
桜木としてもその辺りの青木の発言に関する心情は分からない、とのことだった。
何にしろ、以前にヘリで国立に寄った以来というのもあったので、透子は青木本人に直接会うことにした。