第14章 愛すべき者たち
クリスマスイベントも女所帯で色気なくもしかし騒がしく終了し、それぞれのすべきことをこなしつつ透子達の日々は過ぎていった。
「美和さん。 改めてプレゼントをありがとうございます。 でもあの袋についてたお手紙、『静様にお渡してご利用くだサイ!』って────中身は何なんですか?」
透子の仕事も冬休みに入った本日の昼前。
北風が吹いていて気温は低いものの、すっきりと晴れた昼前の青空の下、透子と美和の二人は国立邸へ行く途中のタクシー乗り場を探しながら国立駅前を歩いていた。
透子への皆からの誕生日プレゼントの内容に関しては以下であった。
静からのものはいつか本人の前で一緒に開けることに決めた。
桜木からのプレゼントはなんというか。 箱に収められたそれらすべてにナチュラルにモザイクがかかっていた。
もしかして、あの日のお風呂で使われたのはこれだろうか。 色味の濃いボコボコしてそうなそれも、透子の目は霞みがかり無意識に凝視するのを拒否した。
そんな中で透子が気に入ったのは、三田村からもらった手持ちが出来る肌触りの良いミニ静人形だった。
あの三田村の趣味が手芸とは意外なものの。
目つきの悪さといいへの字口といい、ちゃんとスーツを着ている所までも本人によく似ていた────今度はぜひ笑顔のご機嫌バージョンも作っていただきたいものだ、と透子は思っている。