第13章 Happy and Bad Day*
「あ…気持ちがいいですわ……ね?」桜木が透子の耳元でうっとりとした細いため息を漏らす。
「だ、ダメです」
桜木の────自分とは違い、成熟して艶のある肌や綺麗なうなじも何ともいえず蠱惑的なものにみえてしまう。 それから目線を逸らした透子の顔は真っ赤に染まっていた。
「三田村が来るまで。 わたくしは透子様を妹のように可愛く思っていますのよ………」
「だって……私こ、声…ひあ」
しなやかな人差し指と親指で挟んだ胸の尖りを容易につかまえ、もどかしいほどの優しさで軽く揉む。
「特にわたくしに女性の趣味があるという訳ではないのですが………透子様。 日々静様に愛されていた身体にとっては、今の生活はお寂しいものでしょう?」
「そん…あっ…あ」
まるで桜木に自分の心の内を見透かされているようだった。
「静様のように過ぎたものも、今の透子様のように足りぬとも、バランスを欠いた色欲というものは人を惑わせるのですよね」
ふんわりとした口調と一緒に胸を弄ぶものと別の、桜木の片方の腕や手は透子の肩や腕、背中をゆるゆると移動している。
桜木が慈愛すら滲ませ、沈んでいた透子の情欲を少しずつ少しずつ白日に晒していく。
彼女の手のひらが透子の腹部をすべり、乳白色の深みへと消えた。
「………っ」
「わたくしに委ねなさいませ。 たまにはこうやって自慰でもすればいいのですが………旺盛な静様と愛し合ってはいても初心な透子様のこと。 それもないのでしょう」
透子が腿で挟もうとするも、ヌルっと滑って逃げてしまう。