第13章 Happy and Bad Day*
「静様も決して弱いほうではありません。 昔はわたくしが直々に鍛えて差し上げましたから。 ただあの方は、何でもかんでもお一人で背負いがちなのですねえ」
「そうですよね、分かります」
コクコクと透子が頷き、その次に桜木があでやかな顔を斜めに傾けた。
「そしてそれは貴女様も同じです」
「えっ、あゃっ!」
突然自分のささやかな胸の先をぷにっ、と人差し指で押され、透子が驚いた声をあげる。
両腕を交差して庇う透子を桜木がコロコロと笑う。
「な、何をするんですか」
「うふふ、ただのおふざけ。 こういう所でのお約束です」
「そん…っ」
イタズラっぽく言い、ひょいと透子の片手を外し、桜木の指先が胸に沿ってくるくる円を描く。
このお約束とやらは、自分もお返しをしなきゃ駄目なものなんだろうか。
そんな風に考えているうちに少しずつ後ずさっていたみたいで、気付けば透子のいる端っこの浴槽の、すぐ近くに桜木の身体があった。
彼女の餅みたいに柔らかで大きな乳房が自分に当たっている。
「ち……近くないですか?」
「お約束ですから」
あと、桜木につかまれているのは軽い力なのに全く動けない。
「そんなものなんですか」
「ふふ。 透子様のお胸は薄い桜貝のようですね」
「あっ………」
桜木が体を寄せたまま上にずり上がった際に自分の乳房も引っ張られ、胸先が彼女の柔肌に押し潰される。
しこった尖り同士がヌルヌル擦れ合い未知の感触に透子が声を殺した。