第13章 Happy and Bad Day*
つい最近まで毎日のように触れられていた肌に、ここのところは音沙汰もなく。
それは当たり前だけど………と、なんの気なしに自分の胸に手で触れてみた途端。
「っ…!」
ビリリ、と肌全体に刺激が走る。
何これ…? 戸惑って胸の先を指で触れてみたら、今度は声が出そうになった。
自分の体はこんな風だっただろうか?
誰も居ないというのに、透子は思わず辺りを見回す。
どうしていつの間に、と湯舟の中で膨らみかけている胸の中心を見詰める。
乳輪までぷくっと形を変えている自分のそれは、とてもいやらしくみえた。
「透子様」
「あっ…は、はいっ!?」
バスルームの扉の外から呼ばれ、透子が慌ててお湯の中に飛び込み返事をした。
「ご一緒してよろしいでしょうか? 裸のお付き合いともいいますし。 女同士、たまにはとも思ったのですが、美和さんは泣き疲れたのか酔いつぶれて眠ってしまって」
桜木の声だった。 別に不思議なことはない。
目黒の風呂でも入れ違いになることも何度かあったし。 と、透子が思い返す。
「も、もちろんいいですよ」
ただ、今考えていた邪なことを隠すために、どもりがちに透子が答えた。
タオルを前にあてた桜木が扉を開けて姿をあらわす。
「では……ふふ。 せっかくのバースデーと景色ですもの。 昨日はみなでここでシャンパンででも乾杯しようかなんて言ってましたのよ」
「そんな上流階級みたいなことを………三田村さんも?」
ええ後から参ります、と浴槽のへりに腰をかけ、甘い香りのする入浴剤をサラサラと加え湯に混ぜる。