第13章 Happy and Bad Day*
「そして、その後の三田村さんのご返事などは………?」
透子が興味津々で訊くと、能面みたいな顔で三田村が彼とやり取りの履歴を見せてくれた。
三田村『ふざけるな』
西条『割と本気。 静からきみのキャリアなんかも聞いたけどね。 よくよく考えたら内面も外見も完璧』
それからズラズラと身長体重から出身校、好きな食べ物や犬好きなんてことまで、西条アピールが箇条書きで貼ってあり、最後にはこんな一文が。
『セックスはどっちでもOK。 きみとの子供さえ出来るんなら体外受精に代理母、大いに結構』
「西条さーん………」
これは無い。
他人事ながら、透子は頭を抱えたくなった。
「透子様もふざけてると思いますか」
「そ、それは。 お二人が並んでも」
言いかけ、いや待って。 と、真面目に想像してみる。
揃って長身、筋肉質ラテン系美男とモデル系クール美女。
お似合いだ。
これ以上は無いほどお似合いだ。
思わず透子がうむ、と頷く。
「私、子供は欲しいんですよ」
車窓を眺めていた三田村がポツリと口にする。
それがなんだか寂しそうに見えたので、透子は口添えをしてみた。
「三田村さんには恋人がいらっしゃるのですよね? 同性カップルでも養子を迎えるとか、海外でそんな話をたまに聞きます」