第13章 Happy and Bad Day*
透子と京吾が接触したとの連絡を受け、朝夕の通勤時には、桜木か三田村が付き添うことになった。
大袈裟な、とは思うも「任務ですから」と言われては、透子も有難く受けざるを得ない。
「結婚、というかプロポーズ………ですか?」
今度は三田村が当惑顔で話してきた言葉を、透子が繰り返した。
つい先日の既視感だろうか。
「まさか、なぜそんな」
ホテルから駅へ向かうバスに乗っていた途中、隣席の三田村がスマホの画面を透子にスッと差し出してきた。
『そうだ。 きみ、俺と結婚しない?
西条』
「軽っ!?」
そうだ。 じゃない。
何を考えている西条。 と、着信の日付を見るとちょうど彼とランチに行ったあの日だった。
透子が視線を泳がせ、彼と話していた時の会話の内容を思い出そうとする。
『まあ、俺もオヤジからせっつかれてるからね………しかし中々いないんだよねえ。 惚れられても困るから』
「………な、なるほど?」
何となく、透子は脳みその上で合点がいった。
西条がランチの後にふと思い付き、サラッと三田村にメールを送ったに違いない。
女性性癖の三田村と基本は男性性癖の西条。
対外的なことを重視するならば、ある意味、お似合いかもしれない。
彼は前に一度三田村に殴られたのが忘れられなかったのだろうか。