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琥珀王子と瑠璃色灰かぶり姫

第12章 救いとは



迷いや悩みを話した時に、上から評価を下すという訳ではなく、その人間ごと大きく包むかのような。 彼のこういう所は静と似ている────人の上に立てる人とはそんなものなのだろう。

「あ…りがとう………ございます」半ば拝みたくなる気持ちで西条を見ている透子に、西条が苦笑する。

「静との事、個人的には応援してあげたいかな。 きみは彼にとってプラスになる人間だろうから。 俺の出来る範囲だから知れてるけどね」

そんな彼に透子は小さく頭を下げた。
何を求める訳ではないが、西条の気持ちが有難かった。

「ところで肝心なことだけど、白井さん。 静と結婚の意思はあるんだよね?」

「正直にいうと、それはまだ。 お付き合いしてからもそんなに経っていませんし」

こじれている最中ですし。 と、これは黙っておいた。

「へ? それはちょっと、どうかなあ。 静と結婚するか分かりません、でも彼が誰かと結婚するのは嫌です。 それじゃご老公じゃなくても、誰かを納得させるのは100パーセント無理だよ」

「納得………」

言われてみればそうだ。
結婚なんて自由意志の元にすることだと、自分は思っている。
けれどもそれは自分自身の勝手な考えなわけで。
それと同じく西条の、静の、そして京吾の考えがある。

「分かりました。 少しだけ方向性が見えてきたような気がします。 西条さん、今日はありがとうございました」

「え、そうなの? なら良いけど………まあ、何かあればいつでも。 面白そうだし」

ふふふ、と西条が口許をゆるめる。

それから透子は彼とLINEの交換をした。
早速 Merry Christmas のスタンプを送ってこられ、そういえば週末はクリスマスだと透子が思い出す。

「そろそろ戻ろうか」彼が先に席を立ち、それからめいめいに会社に向かう。





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