第12章 救いとは
「西条さんはどのような結婚観をお持ちですか?」
「何でもいいよ」
「は?」
大きな口を開け、焼き野菜を中に収めた彼が咀嚼の間に話す。
「誰でもいい。 俺の趣味に口出しさえしなければ。 あとは馬鹿じゃなければね。 こちらの望むものは世間体と跡取り、要は取引だよね。 しかし中々いないんだよねえ………あんまり惚れられても困るから」
「はあ………ああ、でも、静さんも似たようなことを仰っていたような」
「でしょ? 俺らの世界なんてそんなモン。 それにしても白井さん。 八神のご老公怒らせたのはマズいね」
そう言われ、すすす、と透子が自分の膝に目を落とした。
「ですよね…つい。 やっぱり駄目でしたか」
西条が何かが弾けたみたいに大きな笑いをこぼす。
この人は笑い上戸らしい。
「つい………って。 アハハハハ!! ホントにきみって面白いよね。 優等生で大人しそうだけど、実は物凄く好き嫌い激しいでしょ」
「そ、そうですね。 それを言われると………特に失礼な人やああいう八神さんみたいなタイプはこう、どうしようもなくムカムカするというか」
極端な静とはまた違う意味で、自分のこういう所もかなり大人気ない。 透子の顔が赤くなる。