第12章 救いとは
とはいえ。
関係がこじれた他の要因が無いかと考えると、そうでないとも透子は思う。
『同情はしてくれるな』自分は静にも言われたのではなかったか。
違和感があったのならば、反発してでも、自分も対等に主張をすれば良かった。
それをせず見守る振りをして、彼だけに関係性の決定を委ねていた────それは自分の非だ。
こんな頼りない自分だったから、静は色々なことを一人で考えざるを得なかったに違いない。
心から自分が情けなかった。 そう思うと、とてもこのままには出来なかった。
何か手がないか。 と、思い巡らしてみる。
「ええと………静さんのお父さん」
親子仲が良くないのは分かっている。
その中に自分を巻き込みたくないという静の考えも分かる。
かろうじて透子が思い付いたのは、静達に倣い、まずは相手を知る事だった。
スマホを取り出し、PCから拾ったアドレスを探しメールを送る。
「こんばんは。 お疲れ様です。 静さんの事でお聞きしたいことがあるのですけど、少しお話が出来るお時間があればと思いまして」
「お疲れ様。 なんか厄介ごとかな? 俺は自分と静の不利益になる事はしないけどね。 それ了承してくれてるんならいいよ」
その意見は微妙なところだが、透子は明日西条とランチを一緒にする約束をした。