第2章 誰より優しく奪う*
「うちの庭に白薔薇が咲いてる。 蕾が開きかけると、こんな風に……花弁の端が薄らとピンク色がかかって…とても綺麗だ」
静があまりにもうっとりと詩でも詠むように話すので、恥ずかしくて隠すなんてことを思いつかなかった。
あまりにも現実離れしているからかもしれない。
今ここにいる場所も静という人間も。
下着さえもいつの間に外され、肩紐が肘に引っかかっていた。
静の吐息が胸をくすぐる。
視線と吐息から熱が広がり、それをせき止めるように乳房の周りをなぞる指先に背中がぞくっとした。
「……それこそ口付けたくなるぐらいに」
そう言った静が胸の先に唇を触れさせた。
透子がピクン、と晒した胸をわずかに仰け反らせ小さく声をあげた。
ゆるいキスを繰り返しされ、行き場のない感情が自分の内に溜まっていく。
「も…もう、やめ…」
「キミのここはそう言ってない。 それより我慢しないで声を出しなさい」
段々と自分の体の感覚が鋭敏になってくる。
そんな変化に戸惑い、震えそうになるのを堪えた。
「こ、声………?」
「透子が気持ちいいときに出る声。 さっきみたいに……こうやって」
カリ、と軽い歯らしき硬いもので胸を挟まれ、
「ひゃうっ」と驚きと甘えを含んだような悲鳴が喉を通った。
それから間を置かずに静が乳房の先を口内に含む。
「ふ……ぁあっ…や」
「こういうときのキミはたまらなくかわいいな」
今度は空に浮きそうに甘やかな感覚。
舌でねぶるように転がされてるのは、ほんの小さな頼りない自分の器官の一部。