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琥珀王子と瑠璃色灰かぶり姫

第12章 救いとは



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「静さんが結婚、ですか?」

言われたことを繰り返した透子に、桜木が頷いた。

「なぜそんな急に………?」

「急でもないのです。 そもそも、静様と透子様が出会いましたきっかけもそうでしたでしょう?」

言われてみれば、あれはお見合いの席のあとの出来事だった。
静の方は最初から乗り気ではなさそうで、結婚に関しても投げやりな印象を受けていた。

桜木によると、会長………つまり静の父親から、少し前よりまたその催促が頻繁にあるということだった。

「静様にすれば、透子様という恋人はいても、透子様を八神に近付けたくないというのが本心でしょう。 静様の出生はご存じとうかがっております」

「はい。 私はそのお父様にお会いしたことがないので、何ともいえないのですが………」

「声高に話す事ではないですけど」と、桜木が切り出す。 「私は昔、会長の元でお世話になった際に、あの方に手籠めにされそうになりました」

いつも品がよく朗らかな桜木が、物思わしげに頬に手のひらをあてた。

「それを助けようと手引きしてくだすったのが、当時17歳で帰国中の静様でございますわ。 おまけに会長の腹いせで失職してしまったわたくしを、静様が目黒で拾ってくださったのですが────その際、会長は静様に仰いました。 『将来の結婚相手が出来たらわたしにも味見をさせなさい。 お前はわたしの物を盗んだのだから当然だ』と」

「………」



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