第11章 奪い、与え、守る*
「………分からないな。 それを望んだのはキミでは?」
若干不思議そうに眉を寄せ、どうした?と言わんばかりの普段どおりの彼だった。
それが透子には不気味に思えた。
「やっ…」
「俺はちゃんとキミに与えているのに」
彼が透子ごとソファの上に重みをかけると起き上がりかけていた体が簡単に倒された。
肘掛けの上で首を抑えられ、仰け反っている体勢のせいで静の様子を伺うことは出来なかった。
もう片方の彼の手が自分の内腿を這っている。
ショーツの股の隙間を内側に食い込ませ、外気に晒されているのが分かった。
「動かない方がいい。 大人しくしないと怪我をする」
「!??……ッ!」
秘肉の部分をチクッと何かで刺された気がし、透子が顔をあげようとすると軽い力ではあるが首が締まる。
体を強ばらせたまま、透子はそこから動けずにいた。
「最近手に入れたアンプルだが、別に非合法なものじゃない。 とはいえ、医療関係者でなければ手に入らないが……多少の筋肉弛緩剤と混ぜてみた」
刺された部分からドクドク血の鳴る音が聴こえるのは自分の脈だろうか。
「それ、は何…を」
「性感帯に直接塗ることも考えた。 だが、俺の方も歯止めが効かなくなるのは困る。 なかなかの効果か? ショーツの上から既にクリトリスの膨らみが解るな?」
透子の腰の下に自らの両膝を差し入れ、静はその部分をじっくり観察した。
首から手を外しても透子が動く気配はなかった。
「ここにも…左右と比べてみようか」
「あっ!」
今度は、左の胸先に細い針が入っていく様子が見えた。
注射液から押し出された薬剤はほんの少量だったが、みるみるうちに乳頭が大きく腫れ上がってくる。