第11章 奪い、与え、守る*
「愛人?」
「確かに。 発想自体おかしいデスねー」
「そんなものか?」と不思議そうに顎に手をやり、他の皆を見渡す。
「そうなのか………それはそうと、お前たちもクリスマスは何か考えておきなさい」
「皆さんにクリスマスのプレゼントを贈っているのですか?」
「主に向こうの性質だが、基本的に男は物を贈る事は好きだからな。 恋人や妻、子供だけにではなく、家人とみて手伝いの者にも贈るのはそう珍しくもない」
静が説明してくれた。
さすがレディーファースト発祥の国というところか。
「それ、考えてたんデスけどお、三人合わせてプールが欲しいデス!」
一般家庭にプールとは。
しかもクリスマスプレゼントとは。
居候にサラッとブランド服一セット用意するだけの事はある。
透子が額を指で抑えた。
「フム…だが、国立ならまだしも、ここにはそんな敷地はなくないか?」
「屋上はいかがでしょう?」
「夏しか入れないじゃないか」
「いいのですわ。 そのうち静様にお子様が出来ても一緒に遊べるでしょうし」
「ねえ! 透子様、どうでショ?」
そんな遠い国の出来事みたいな話を自分に振られても困る。
なぜだか桜木と美和が自分の方をじっと見てくるので、透子が無難な相槌を打った。
「い、いいんじゃないですか。 維持が大変そうですけど」