第11章 奪い、与え、守る*
「ああ、誕生日の過ごし方を考えておきなさい。 クリスマスの二日前だな。 言ったと思うが休暇を取るから。 キミの望む物を贈ろう」
どう伝えれば良いのか分からない────
目の前のこの人はなぜ、突然変わってしまったんだろう?
自分は知らないうちに彼の負担になっていたんだろうか。
「またこんなに濡れそぼって、仕方のない子だ………」
きちんと整った色の薄い唇が、やさしい形に笑いを作っている。
一方、最初から鋭い閃光を思わせる瞳は、燃え動く冷たい炎のようでもある。
段々と速度と重さを増していく挿抜に、透子がひっきりなしに声をあげ続け、静はそんな彼女を満足げに見下ろした。
「あっ…ッああっ、っッう、ん…っああッ」
彼が思っていた『優しさ』は自分と同じ物ではなかったのか。
自分は今までそれを当たり前と受け取っていたのか。
それは罪になるのか。
────身を守るための無意識の殻と言いましょうか………そして闇が深いほど、それは比例するもの────
そんな青木の言葉がいく度も透子の脳裏に浮かんだ。