第11章 奪い、与え、守る*
「い……痛」
敏感な乳頭を指が捻りあげていた。
顔をあげた静の瞳が既に肉欲をたたえていて、闇に光り浮びあがる。
金色のそれが獣か何かのように見え、透子は息を呑んだ。
「以前は素直に感じていただろう」
それから、「昔、父親が言っていた」と、顔を下げ傾けた静が耳に口を付けてくる。
耳から首すじへ、そして胸元へ。
「………」
そこから指を離し、痺れて感覚の無くなりかけた突起を舌がヌルヌルと慰めを与える。
「人を縛り支配するのは痛みや恐怖が手っ取り早い、と。 馬鹿な話だとは思っていたが」
彼の肩から布地が滑り、薄暗さの中で男性の骨格や筋肉の陰影をつくる二の腕や胸があらわになった。
単純に、透子の体がすくむ────学生の頃に教師に触られた時や、初めて静に車内で襲われかけた時を思い出した。
「実際、白井の家でのキミを思い起こすと。 あそこでのキミは実に従順で、逃げ出そうともしなかった」
「しず……かさ…何を、言」
お腹から下に降りていった彼の手がショーツにかかり、それは容易に剥ぎ取られて膝に絡まる。
「最初キミの言いつけどおりに優しくしていた俺には、無視をしたり傷付ける言葉を投げるのにだ………俺が間違っていたのかも知れない」
抑揚なく話し続ける彼の声が冷たく部屋に響いていた。