第11章 奪い、与え、守る*
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就寝にしてはまだ早い時間だと思う。
透子がここの所、自室にしているクローゼット部屋に居るのはわざとだ。
「透子、こちらへ来なさい」
戸口の向こうで静が呼びかけてくる。
「まだ少しやる事があります」
「明日にすればいいだろう」
昨晩はここでごねて、結局無理やり寝室に連れていかれた。
それで彼が余計に不機嫌になっただけだった。
こんな事は良くない。 と、分かってはいてもどう話せばいいのか。
先にベッドに入っていた静が、脇へと立った透子の腕を取り、その上に覆い被さってくる。
どちらかというと冷めた静の目だと思った。
「静さん」
それなのに、なぜ彼はこんな事をするんだろう。
プツ、プツと夜着のボタンを外し、透子の開いた衣服の合間に顔を埋める。
「なんだね」
「また夕食を作りますね」
濡れた舌を胸に這わせ、外気ですくんだ胸先の周囲を撫でる。
「今ごろは…お野菜が美味しい季節ですから」
敢えて平静に話し続ける透子に、静は何も答えない。
片方の大きな手のひらが胸を包み、くん、と先端を押し上げた。
「もう少し早ければ、お鍋なども」
指先が胸の突起を柔らかく潰しながら小さな弧を描く。
無意識に反応を返そうとする体から気を逸らそうと、透子は他の事を考えようとした。
「静さんは、お肉と────っあ!」
すると、刺されるみたいな痛みに思わず声をあげた。
「無粋な真似はやめたまえ」