第11章 奪い、与え、守る*
同情、罪悪感、後悔………そんなものが自分の心を占めていく────そしてそれは、静が大事だから。
彼の出自がどうあろうとも。 そう伝えたかった。
「もう少し話が………出来ればいいのだけれど」
静からの『21時過ぎに帰る』という短いメッセージを眺めてため息をついた。
ふと、ある事を思い付き、青木を探しに室を出た。
「はあ………夕食を、でございますか?」
青木がほんの少しだけ眉をひそめて透子を見る。
基本的に、ここでの食事はほぼ洋食だ。
とはいえ静が外食の際はあまり洋食は選ばないようだった。
そして遅い帰宅での食事が油っこいものばかりだと、体にも良くないはずだ。
『休日は一緒に料理や皿洗いでもするか』
そんな話を静としていた事を思い出した。
機械的に激務をこなしてるだけでは精神にも良くない。
食事の後は軽くジムでも誘ってみようか、と透子は思った。