第10章 琥珀色の闇*
欲されること、愛し合うこと。
透子の心の隙間を、静の体が埋めた。
戸惑いや憂いが遠ざかっていくのが分かる。
抱き合い、吐息と水音が混ざり合う。
今日の彼は言葉少なく、余裕が無い。 と、透子は感じた。
そしてそんな静に心身が勝手に沿っていく。
「ふ、は……ぁ」
「……ふぅ」
静が透子の身体を抱え上げ、彼女を壁に押し付けた体勢でそのまま繋がった。
濡れてはいても久しぶりに迎え入れる鋭く甘い痛みに、高い声をあげた透子が静にしがみつく。
無理のない場所まで入ると入口に戻り、少しずつまた奥へと近づいていく。
そんな動きにまもなく摩擦が滑らかになっていった。
自らの体内を行き来する異物は硬く熱かった。
その角度や深さが変わるたび────触れ合う粘膜の面積や強さが変わるたび、透子が過敏過ぎる反応を返した。
粘度を伴いくぐもった音が二人の合わさっている部分から部屋に響く。
静がまだ欲しい、とでもいうように指を噛んで耐えている透子の手首を掴み、再び唇を重ねた。
「ぁ、……ん、っ。ふ、んんっ、…ん」
絡ませてくる舌に応えようとすると昂った剛直が奥を無理やり押し上げる。
間隔を置きぐぐと押される。 そんな力強い雄の象徴に透子の体が呆気なく絶頂に呑まれた。
「ん───っ!!」
全身を赤く染めて蕩ける透子が力なく静の胸にもたれかかり、浅い息を繰り返す。
達したあとに内部粘膜が弛緩を迎えるまで、立ったままの自分の中に彼がいた。